勝田 範彦 選手 (2011)

int020<2012.04.04>
シートがクルマの剛性を高める
ラリードライバー 勝田 範彦 選手
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Q. まずは2010-2011年全日本ラリー選手権の2連覇。同じく2007-2008年の2連覇と合わせて4度目のチャンピオンですね?

そうだね。実を言うと2009年は9戦あった内の7戦しかでていないんだ。その年、突然レギュレーションの変更があって、グラベル戦(未舗装路)でのポイントがターマック戦(舗装路)の2.5倍になることになったんだ。誰がどう考えてもおかしかった。グラベルへのエントラントを増やそうという意図があった。グラベル仕様のクルマは、ターマック仕様の倍の費用が掛かる。クルマへの負担がものすごく大きい。ターマック仕様でターマックに出場しているだけであれば1度作り込んだら壊れることはない。でもグラベルの場合はそういうわけにはいかない。元々そういうのが背景にあってグラベルへのエントラントが少ないという問題があった。それはわかるけど、でもそれは単純にポイントを2.5倍とかっていう形ではなく出場したいと思う要素を皆で考えて作って行くべきだった。実際に過去に欧州ではそういうことをやって上手くいかなかった例もあったわけだから . . . 。
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Q. 5年で4度のチャンピオン獲得。勝田選手の強さはどこにありますか?

ラリーで勝つための要素って、ドライバーの力量とクルマの性能の割合が70 : 30 だと思う。人が70。ラリーというのは、ものすごく独特な競技。仮にクルマがそれほど高い性能をもっていなかったとしてもドライバーの腕が良ければそこそこタイムを出すことができる。その逆もあってどんなに良いクルマであっても、ドライバーの腕によっては全くタイムがでない。サーキットと比べると、その割合みたいなものが大きく違うと思うよ。もっと言うとラリーの場合、コ・ドライバーからの情報をもとにコースのイメージを頭の中で描いていかないといけない。イメージしながらものすごい集中した状態で瞬間的にクルマを操っていくでしょう。相当、頭が良くないと強くなれない . . . そこかな(笑)。
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それは冗談だけども、以前と比較するとよくばらなくなったというところじゃないかなぁ。勿論、絶対トップを取るって思ってるよ。でも今はひとつのレースを終えて最終的にトップになれればいいと思っている。以前は全てのSSでトップを取るって思っていたんだよね。その頃に比べるとレース全体を通していろいろと戦略を立てられているかな。

ラリーの場合、サーキットと違って同じ状況で同じコースを何度も走れるということはまずないよね。だからものすごい集中力というか . . . うんそうだね。走っていてふっと余分なことを考えることがある。それってまばたきするぐらい一瞬のこと。欲張ったことを考えられる瞬間っていうのかな。そういうものがだめ。
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Q. そうすると高い集中力を持続することに繋がっていますか?

そうだね。不得意なところをどれだけ頑張ってもだめ。得意なところと不得意なところを見極める。全体を通して挽回することを考えられるようになった。そのバランスを取れるようになったことが速さにつながっているんだと思う。それは僕自身だけではなく、コ・ドライバーも同じ。コ・ドライバーも解ってくれている。だからここは抑えるところ、ここは攻めるところっていうのを見極めてくれる。それもすごく大事なこと。
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Q. 経験を積み重ねて得られる技術とか感覚とかっていうのはどうですか?

ラリーの場合、1週目と2週目で同じ状況ということはまずない。先は無かった石が転がっていることもある。あらゆる状況に適応しなければいけない。経験を重ねることで、その引き出しが増えるということはあると思う。感覚は理論よりも大事。サーキットを走っているドライバーの方がそういう意味では理論的なんじゃないのかなぁ。サーキットと比べるとラリーの方が感覚のウェイトが高いと言っても間違いではないと思うよ。うん . . . 全然間違いじゃない。ハンドルを何度切って、ブレーキを何ミリ踏んでとかって言えないもんね。それよりも、ギュッてやって、ギャーってやる . . . みたいな方がわかりやすいでしょ(笑)。
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Q. 一昨年と比べて昨年、クルマをこう変えたというところなどはありますか?

タイヤや足回りに関してはグラベルを意識した仕様にしたのはあるかな。それによってテストする機会も多く、グラベルの練習が増えたよね。センターデフ、タイヤ、サスペンションなどのデータも取るようになった。今までもやっていたけど . . . 変えたときに全体を見ていいかわるいか、変えた部分とそれによって違うところが変わる。以前よりも全体でそういうものを意識して見るようにはなったよね。 . . . と言っても、遅すぎると思われるかもしれない(笑)。最近になってそういうことを意識するようになった。今の人たちはもっと最初からデータなんかをしっかりと見ているだろうけどね。
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Q. 2012年よりレカロ最新の競技用シェル Ultima1.0を採用 . . . ?

あれすごいよね。本当に気に入った。何がいいと言うと、ウレタンのあたっている場所がものすごく気持ちいい。ちゃんと収まる感じだなあ。何でだろう . . . ポジションがいいのかな。分割式のパッドなんだけど、パッドのあるところとそうでないところで違和感が全くない。気持ちいい。すごい。全く疲れる気がしないね。
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Q. あのとんでもない剛性感が却って身体への負担になることはないですか?

まだレースのように長い時間を乗ってはいないので正直わからないけど . . . 僕はあれぐらい動かない剛性感の方が好き。シートの剛性が高いとクルマの剛性があがるんだよね。例えばフレームに6mmのものを1本入れるだけでクルマの剛性ってものすごく変わる。クルマ全体の剛性をあげても身体を預けているシートに剛性感がないとダメ。レースを走るクルマって極限まで剛性を上げているわけだから、普通のクルマよりももっとダイレクトにあのシートの剛性感の凄さが感じられる。
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Q. 勝田選手よりラリーの愉しみ方を教えてもらえますか?

ラリーって開催地がとんでもなく郊外でしょう。山の中だったりするから、アウトドアを愉しみながらラリーも愉しむという感覚がおススメ。どこも秘境みたいなところでやるんで、温泉とかって必ずあると思う。ラリーに行って、それと合わせてそういうものを愉しんでもらえたらいいよね。
それから今はラリーを愉しむための情報源なんかもたくさんあるからね。昔はなかった。JRCA(全日本ラリーチャンピオンシップ・アソシエイション)というラリーの世界の選手会みたいな団体があって、もっとラリーを多くの人たちに広めようという活動をしている。そのJRCAが作成しているJRCガイドブックではラリーの愉しみ方などを紹介しているんで是非参考にしてほしい。